相続の態様には大きく分けて二つあります。一つは親族制度に基づいた法定相続制度で、もう一つは、死者の生前の意思にも続いた遺言制度です。遺言制度による相続は遺言者が単独ですることができ、またその効力は遺言者の死亡時に生じるので、相続の過程を考える必要はあまりないと考えます。他方で、法定相続制度は相続人が一人しかいない場合(単独相続)と数人いる場合(共同相続)とで処理の仕方が異なることから、相続の過程を知っていることが良いと思われます。まず、共同相続ですがⅰ被相続人の死亡→ⅱ遺産共有→ⅲ各相続人による相続の承認や放棄→ⅳ遺産分割→ⅴ相続財産に対する各相続人の具体的取得分の確定という流れになります。次に、単独相続ですが、共同相続の過程のうちⅱ、ⅳはない点が異なることになります。